溺愛協奏曲
「完全無視・・・・?」



「そう、完全無視・・・あたしなんて空気みたいに扱われて存在しないみたいになった


でも・・・ある時学校へ行ったらあたしの席に花瓶が置いてあったの


菊の花が置いてあってそれを見たとき愕然とした・・・それって死んだってことなの?


咄嗟にそう思ってもう教室に居られなくて気付いたときには屋上に居て声を殺して泣いてた


龍斗さんや蓮兄に言えば助けてくれたかもしれないけどどうしても言えなかった



心配かけたくなくって・・・幸い学年も違ったし生徒数も多かったから龍斗さんも



あたしがいじめられてるなんて気が付かれないで済んだ」



「玲奈・・・龍斗には言えなくても俺には言えただろ?」



蓮が悲しそうな目で玲奈ちゃんを見つめる



あたしはその場にいなかったから何とも言えないけど・・・・



蓮には自分を責めて欲しくない



心の底からそう思った



「ごめん、蓮兄にも言えなかった・・・今思うと相談してたらもっといい方向に

向かってたかもって思うからあの時の自分に逢えるならもっと頼って相談してみてって

言いたいけどあの当時のあたしはそんな余裕なくって・・・・でも音楽室の


溜まり場で皆で馬鹿言ってはしゃいでる時が一番楽しくて生きてるって


感じられた」



「玲奈・・・・」



「でも、そんな目にあっても音楽室に入り浸り龍斗さんとも付き合いを

続けるあたしに彼女たちの堪忍袋の緒が切れてしまったみたい・・・・


学校帰り知らない男達に無理矢理拉致されたの」




玲奈ちゃんはそう言って俯くと大粒の涙を流した


なんとなくそのあとのことが想像できてそうであって欲しくないって思ったけど



玲奈ちゃんの発した言葉に病室の空気が変わったような気がしてあたしは思わず息を飲む










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