溺愛協奏曲
「き・・・菊の花?」




「そう、菊の花・・・仏壇とかによく飾ってあるやつ・・・

あとから聞いたら玲奈の机に花瓶に入れて飾ってあったらしい」




深い溜息をついたまま蓮が呟く



玲奈ちゃんは俯いたままであたしの手を握ったまま・・・



そんなことをするって・・・



菊の花を飾るって・・・それって死ねってこと?



怒りが込み上げて玲奈ちゃんの手をおもわず握りしめる



再び蓮の声だけが病室に響きわたった



「・・・龍斗が俺を見るなり玲奈はどこだってすごい剣幕で詰め寄った


とっくに帰ったって言うとあいつを一人にしちゃダメだとか叫んで



今すぐ玲奈を捜せって俺に言ってきた・・・俺も玲奈の様子がおかしいって



感じてたから涼や拓巳、ダチに連絡して捜したんだ・・・



しばらくすると俺の携帯に連絡が入った、繁華街の雑居ビルの屋上に玲奈らしき



女がいるってな・・幸い繁華街は全部東條組がしきってて見回りしていた組員


が偶然みつけたらしい、急いで駆け付けるとビルの屋上にぼろぼろの制服を着た



玲奈がうつろな眼で遠くを見つめて立ってた・・・・



飛び降りるって感じた俺は急いで屋上に行った・・・・けれど俺の静止も聞かず



玲奈はそのまま振り返りもせずに飛び降りた・・・俺の目の前で・・・」



蓮は辛そうに涙を浮かべるとあたしをみつめた



あまりにも辛そうな蓮の顔を見ていたら苦しくて涙が後から後から自然とこぼれていた















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