溺愛協奏曲
玄関の前には大きな黒いワゴン車が一台止まっていた



Tシャツに短パン姿の蓮が車にもたれかかって煙草を吸っているのが見える



ゆっくりと視線をあたしのほうに向けると驚いたように目を丸くした




「蓮、・・・ごめんね待たせて」



「蓮兄、お待たせしちゃってごめんね~ほら、莉子ちゃん綺麗でしょ?

ママったらかなり気合入れてたみたいだからまるで別人みたいでしょ?」




「・・・・・・・・」




ただ、無言であたしを見つめる蓮




な・・・なんだろ?あたし変かな




もしかして、似合わないとか?



そんなことを思っていると突然ぐいぐい手を引かれて車庫の奥まで連れて行かれる



なになに?一体どういうこと!



蓮はあたしをじっと見つめたかと思うとそっと優しく抱きしめた



「綺麗すぎて誰にも見せたくねえ・・・こんなに綺麗な莉子見ていいのは俺だけだろ」



「蓮・・・・」




「なんか直視できねえんだけど・・・やばいな」



そう呟いて抱きしめていた腕を緩めたかと思うと額と額をくっつける



蓮の吐息を感じて顔中に熱が集まった



「花火よりも、二人っきりになりてえ・・・」




あたしの腰に力強い腕を回して呟く狼が目に前にいた








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