溺愛協奏曲
「莉子が許しても俺は許したわけじゃねえぞ、お前の顔見ただけで


あん時のこと思い出して腹が煮えくりかえるほど腹がたつ



茜が男だったらぼこぼこにしてやるとこだけどお前は女だしそうもいかねえ


だから、休学なんてしねえで学校来い・・・俺と莉子のことちゃんと見てろ



それがおまえの償いだ・・・」



「蓮・・・・そんな・・」




後ろ姿の茜ちゃんはドアノブを掴んだまま肩を震わせている



今の茜ちゃんにそんなこと・・・辛すぎる



蓮はなぜそんなこと・・・・



「お前・・・今まで大関組のお嬢ってことでちやほやされて


手に入んないものなんてなかっただろ?欲しいものは全て手に入ってきた


だけど、唯一手に入んなかったものが俺だ・・・違うか?



茜・・・人の気持ちほど難しいもんはねえぞ、だから気持ちが通じ合うのは



ある意味奇跡みてえなもんなんだよ・・よく覚えとけ」




蓮の言葉を黙って聞いていた茜ちゃんは急ぎ足で溜まり場を出ていく



一度も振りかえらずに階段を下りていく足音だけが響いている




その後を片山が慌てた様子で追いかけようとしていたけれど




ふと突然足を止めるとあたしに向かって頭を下げた




「莉子さん・・・・すまん、本当に悪いことをした


ひんむいたあいつらもうこの街から追放したさかい



かんにんしいや・・・俺は茜があそこまで思いつめてるとは



思いもよらんかったんや、ほんとにすまんことした・・・・



二人とも茜のことは俺にまかしとき!じゃあまた!」




片山もひらひら手を振ると急ぎ足で溜まり場を後にする



あたしは呆然としたままその場に立ち尽くしていた

































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