溺愛協奏曲
「龍・・・あたし・・あの時突然拉致されて数人の男に連れて行かれた


そしてそのあとは・・・・たぶん龍も知ってると思うけど・・



あたし・・目の前が真っ暗になってしばらく呆然としてた



その後ふらふら歩きまわってどこを歩いたのかわからないけど・・・


気付いたときには繁華街の屋上に立ってて泣きながら空の星を見つめてた



涙があとからあとから流れてきてもう自分が汚れてすごく汚いもののように



思えてもう生きていたくないって思ったの・・・・


それになによりこんな汚い自分、龍の傍にはもういられないって思って



こんな自分死んだ方がましだって・・・楽になれるって思って飛び降りた・・・・



でも神様はあたしを死なせてはくれなかった、奇跡的に助かったあたしは



意識が戻らないまま・・・だけど一年前にやっと意識が戻ってリハビリを



ゆっくりだけどできるようになって、あたし頑張って最近やっと歩けるように



なったの、莉子ちゃんと一緒に学校通いたかったしなにより歩けるようになってから



龍に・・・龍に逢いたかったの」




俯いたまま涙を流す玲奈ちゃんをそっと抱きしめる



そっと震える肩をあたしはゆっくりと撫でていた



もう辛い思いをして欲しくない、そう思いながら・・・



「龍斗、お前に玲奈のこと言わなかったのは玲奈のおふくろさんに頼まれたからだ


玲奈は死んだことにしといてくれって・・・・」




「な・・・なんで・・・」



「龍斗さんは未来がある人間だから意識が戻らない玲奈に煩わされてはいけないって

死んだことにしててほしいって頭下げられたんだ」






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