溺愛協奏曲
「莉子・・・・腕、赤くなってる」



王子様は心配そうに顔を覗き込むとあたしの手首をそっとさすった



よほど強く握っていたのかうっすら跡が付いているし・・・・



「へ?あっほんとだ・・・・こんなの全然だいじょ「保健室行くぞ!」」




・・・・と突然の浮遊感



へ・・・何?何が起こった?なになに?




突然目線が高くなり目に前には王子様の端正なお顔が目に入る



自分がお姫様抱っこをされているということにはっと気づいた時には既に遅く・・・




教室中がきゃあきゃあという歓声で埋め尽くされる




恥ずかしすぎて俯いたまま王子様にあたしは懇願する




「お・・・・降ろしてください、一人で歩けます」




「無理、俺がこうしていたいんだ・・・莉子は黙ってて・・・


そんなことより、姉ちゃんは今日保健室にいるのかな?」



ん・・・・・姉ちゃん?



保健室の担当医って里香さんだよね?




里香さんを姉ちゃんって言うことは・・・・・もしかして?!



「あ・・・・あのもしかしてあなたさまは・・・・あの慎ちゃん?」



おそるおそる尋ねるとニッコリ微笑む



「ふっ・・・やっとわかったんだ?だだいま、慎だよ」



七歳の時に別れた幼馴染の慎ちゃんが目の前で笑っている



目元に面影が残ってる・・・だからどこかで逢ったような気がしたんだね



懐かしさにあの頃の思い出が込み上げる



でも慎ちゃんの存在が嵐を巻き起こすことをこの時のあたしはまだ知らない











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