溺愛協奏曲
「莉子ちゃんを助けたあのスーツのイケメンさん誰?」




予想通りの一言に一瞬笑いが込み上げる



あたしは笑いを堪えながら玲奈ちゃんの疑問に答えた




「幼馴染・・・・今日偶然逢って、まあ・・・逢うのは10年ぶり位だけど」




「そうなんだ~でもすごいかっこいいし王子様みたいじゃない?


あの後教室中、興奮状態で凄かったんだから~」




玲奈ちゃんはバニラのアイスを頬張るとちょっと怒ったように呟いた



「お姫様抱っこしてどっか行っちゃうし・・・もう大変だったんだから」



「ごめんね・・・玲奈ちゃん」



「ううん、いいの莉子ちゃんが悪いんじゃないし・・・悪いのはナンパしてきた


あの男どもなんだし・・・・それより・・」




「なに?玲奈ちゃん」




玲奈ちゃんはあたしに向き合うと真剣な瞳を向けたままじっと見つめた



なんだろう・・・こんな真剣な玲奈ちゃん見たの久しぶりかも




「あの、男の人・・・莉子ちゃんのこと好きでしょ」





え・・・・好き?




誰が、誰を?




一瞬なんて言われたのかわからないあたしの頭の中は真っ白で働かない





好きって聞こえたようなきがしたけど・・・・




「眼を見ればわかる、あの眼は愛しい人を見る優しくて熱い眼差し


完全に惚れこんでる眼・・・だよね?」





玲奈ちゃんは深く頷いたかと思うとゴミ箱にアイスクリームのカップを捨てた



「莉子ちゃん・・・・あれ・・「え・・・なあに?なんかあっ・・・・た」




あたしの元に一直線に歩いてくるのは紛れもないスーツ姿の紳士である慎ちゃんで・・・




あのころの面影を残した顔をあたしに向けるとニッコリ微笑んだ




















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