溺愛協奏曲
「莉子、さっき通ってきたガラス張りの廊下すごい素敵だね~眺めもいいし


日本の学校って初めて来たけどなかなかいいね、気にいったよ」




「そう?慎ちゃんに気にいってもらえてよかった!でもアメリカの高校の

ほうが日本の高校より自由で快適なんじゃない?」



「さあ・・・それはどうだろう・・・」



急に慎ちゃんの顔に影が差したのをあたしは見逃さなかった



無理して笑いを浮かべてて・・・



そんな慎ちゃんが見ててとっても痛々しくって・・・悲しくなった



小さい頃から体が弱かった慎ちゃん



たぶんアメリカに行っても学校に行けない日の方が多かったはず




そんなことわかってたはずなのに・・・・あたしってば!



不用意な発言に自分自身を呪いたくなった




馬鹿!馬鹿!ばか~っ



なんでこんなこと言っちゃったんだろ




あたし・・・慎ちゃん傷つけた?




「慎ちゃん・・・・ごめん」




「ふっ・・・いいんだよ、莉子が謝ることなんてなにもない


僕は昔っから心臓が弱くて学校なんてほとんど行けなくて・・・・



行ったとしても数えるほどしかないし、ほとんど家庭教師を付けて勉強


してたからね・・・だから学校のこと言われても思い出なんて数える


ほどしかないし、わからないってのが現実」




ニッコリ微笑む慎ちゃんのブラウンの瞳は眩しくって・・・・




廊下で話し込んでしまったあたし達は玲奈ちゃんとふたり黙り込んでしまった




なんだか周りの雑音がやけに耳に響いて仕方なかった










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