溺愛協奏曲
「はあっ・・・疲れたし・・・喉渇いたな」




冷蔵庫を開けてミネラルウオーターをごくりと飲んだ



額に滲む汗を拭いながらほっと一息つく




台所を抜けリビングのソファに座ると周りを見渡した




東條組とは違い嘘のように静かな我が家




そう・・・ここは紛れもないあたしの生まれた家であり自宅




なんとなくここに帰って来たくて・・・誰もいないとは分かっていたけど・・・




お父さんは相変わらず仕事だけどなんとなく自分の家に帰りたくなって来てしまった




やっぱり、我が家は落ち着くなあ




そんなことを思いながら再びミネラルウオーターに口をつけた




「ふうっ・・・・あたし・・なにやってんだろ、蓮に待ってろって言われたのに・・・」




今更ながら自分の行動に後悔の念が押し寄せる




蓮はやけどをした彼女をほっとけなかっただけなのに・・・




彼女を姫抱っこする姿を見ただけで動揺するなんて・・・




こんなあたしを見たら蓮はどう思うだろう




「呆れて愛想尽かされたりして・・・・」





深い溜息をつくと突然玄関のほうで物音がした




ばんっと凄い音が響いて誰かが入ってくる気配を感じたあたしは思わず身構えた








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