溺愛協奏曲
「だ・・・誰?」




「俺だ・・・・」





息を切らしたスーツ姿の蓮がいつの間にか目の前にいる



手にはスーツの上着を持ち、よほど急いできたのか髪は乱れて薄ら汗を浮かべていた




あたしの顔を見るなり隣に座るとあたしの持っていたペットボトルをひったくるように掴む




すると一気にミネラルウオーターを流し込んだ




蓮の喉仏が上下する



飲み終わると額の汗を手でそっと拭った



一連の動作も絵になっていて格好いいな・・・なんて



そんな場違いなことを考えているあたしは相当馬鹿で・・・



自分が思っているより蓮のことを相当好きになっていて




蓮が来てくれただけでこんなにも嬉しくて




落ち込んでいた自分なんてあっという間にどこかに行ってしまって・・・




そんな自分にほとほと呆れて蓮が大層お怒りだなんて空気も全く読めなかった





「待ってろって言ったよな?どこ捜してもいねえし、俺の家にもいねえし

どこ行ったのかと思ったら・・・・ったく勘弁してくれよ


あんまり、心配させんじゃねえぞ」



「・・・・・うん・・ごめん」




あたしの肩をそっと抱き寄せると頭に唇を寄せてそっとキスをした















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