溺愛協奏曲
するとお腹いっぱいになった弟君を蓮のお父さんが抱っこした



恐々抱っこしていたけど満腹なのか弟君は再びぐっすり夢の中



見つめる蓮のお父さんの瞳は優しくて東條組の組長の顔はどこにもない




蓮のお父さんは弟君をあやしながらあたしのほうに目を向けて話し出した



「莉子ちゃん・・・・由美子が出産してからも手伝いに来てもらう予定だったんだ


けど莉子ちゃんも学校があるし申し訳ないってずっと思っててね


・・・で、前から捜していた家政婦さんが実はやっと見つかって


子育ての経験も豊富な人だし、莉子ちゃんには申し訳ないけど今週いっぱいで



辞めてほしいんだ・・・・突然すまないね、勝手言って・・・」




「あっ・・・そうなんですか、でも子育て経験ある人のほうがいいですよね


気にしないでください!あたしなら大丈夫ですから」




あたしは正直びっくりしたけど蓮のお父さんの言うことにも一理あると思って



素直に頷いた・・・・赤ちゃんは可愛いけどあたしにはわからないことだらけ




高校生のあたしがお手伝いなんて無理って思うのも当然のこと



あたしはそう信じて疑わなかったけど・・・・




それまで黙って見つめていた蓮が大きな声を出して叫んだ



「おやじ・・・今週でってほんとかよ、それに代わりの家政婦なんて

いつの間に決めたんだよ!なんで俺に一言言わねえんだよ!」




「蓮!決まったことだ・・・文句言うな!」




大声で叫んだ声に驚いて弟君が大きな声で泣き出す




鳴き声が病室に響き渡って二人の間は一色即発という雰囲気が漂っていた


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