溺愛協奏曲
「ちょっと二人とも!そんな大きな声出さないでよ、せっかくお腹いっぱいで

良い子にしてたのに泣き出しちゃったじゃない!喧嘩するならよそでやって」



由美子さんはそう言うと弟君を蓮のお父さんから取り上げてあやし始めた



さすがお母さん、しばらく泣いていたけどあっという間に泣き止んで



すやすや夢の中・・・・蓮とお父さんはその後黙りこくってしまい険悪なまま・・・




なんだか居づらくなった雰囲気に蓮も居心地が悪かったのか由美子さんにさよならして



二人で組の車で帰路につく




蓮のお父さんはそのまま面会時間ぎりぎりまでいるらしくあたし達は病室で別れた




車内でも黙りこくって何も言わず蓮はあたしの肩を抱いたまま流れる景色を見ている



あたしが蓮の家でお手伝い出来なくなることがそんなに嫌なのかな



まあ・・・だいぶみんなにも慣れてきたし淋しいってのもあるけど・・・・




これで逢えなくなるってわけじゃないのに・・・なんてあたしは軽く考えていた




蓮の気持ちなんて知りもしないで・・・・




それからあっという間に週末になり由美子さんと弟君の退院の日



名前もめでたく決まり東條組のリビングには達筆な字で大きく書かれた命名紙



が貼られていたとか・・・翔と書いてかけると読むらしい



自分の人生を自分自身のちからで翔けていってほしいという思いを込めて名付けたんだとか



その翔くんのお祝いが盛大に開かれるらしく駅前のホテルを貸し切るみたい



さすがに退院したばかりの由美子さんと翔くんは連れて行けないのでお留守番



家政婦さんも来ていたらしいけどあたしはそのまま東條組の車で自宅へ帰った



部外者のあたしがお披露目のパーティには出れないので丁重にお断りした




蓮はあたしを連れて行きたかったみたいだけど・・・・





























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