溺愛協奏曲
「莉子ちゃん、俺んとこのダチに坊城グループのホテルに従業員として

働いてもらって潜入捜査させてんねんけど・・・この婚約坊城グループの


ほうからの突然の打診やったそうやで」



「坊城グループからの?」




「ああそうや、まあ従業員同士の話やねんけどなんでもここのお嬢様


坊城紗枝子が東條組の若にえらいご執心でお熱やったそうやないかい



なあ、そうやろ茜?」



片山は腕組みをすると茜ちゃんのほうを見つめて同意を求める



茜ちゃんは思い出すのも嫌なようで眉間に皺を寄せると溜息をついた



「そうね、それはあたしもだいぶ前から感じてたことなんだけど・・・パーティなんかで

たまに一緒になるとあたしのこと凄い目で睨んで敵視してたし、一度だけだけど


ドレスにわざとジュースこぼされたりしたしね・・・・蓮にはあからさまに色目


つかってたりしたからそうじゃないかなっては思ってたけど・・・」



「これはあくまで噂やねんけど・・・ここのお嬢様の紗枝子って女


東條の若をどうしても自分のものにしたくて脅して婚約したらしいんや」



え・・・・脅してってどういうこと?



あたしは一瞬頭がパニックになりそうになったけど懸命に片山の言葉に耳を傾けた




「莉子ちゃん、最近誰かにつけられてるとかなんか変わったことなかったか?」



「え・・・変わったことって・・・・」




「莉子ちゃん、たとえば変なメールが来るとか?なかったならいいんだけど」



涼くんの問いかけに文化祭のあたりに来た変なメールが頭に浮かんだ



あたしの顔をみて何かあったらしいと察した玲奈ちゃんはそっと手を握ってきた


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