溺愛協奏曲
「実は文化祭をやってた頃、変なメールが何通か来たんだけど

何日かしたらぷっつり来なくなったんでそのまま放置してたの・・・・


もう今じゃそのメールも全く来なくなったし、あたしすっかり忘れてて」



あたしの言葉にみんなが考え込んで一瞬静かになる


すると隣にいた玲奈ちゃんはあたしの手を握りしめながら怒ったような顔で呟いた




「莉子ちゃん!何で言ってくれなかったの!これからは気になることがあったら

言ってくれないとわかんないし・・・溜め込んじゃ駄目だよ!莉子ちゃんの


ことだから心配かけるとか考えたんでしょ?そんなの駄目だからね」



「玲奈ちゃん・・・・ごめんね」




あたしは玲奈ちゃんの手をぎゅっと握りしめただひたすら謝った



「でも・・・・そのメールが坊城紗枝子のものだって証拠はなにもないよな」



拓巳くんはそうつぶやくとしばらく考え込んだ



片山は拓巳くんの言葉に黙って頷くとゆっくりと話し出した



「まあ噂じゃかなり我が儘で手に負えない気位の高いお姫様らしいしで・・・


今回の婚約も従業員の間じゃ東條組の若頭の弱みを握って脅した挙句



無理矢理婚約したらしいってもっぱらの噂らしいんやけどあながちはずれでも


ないかもしれん」



「片山さん・・・もしかして蓮の弱みって・・・」



涼くんの言葉に頷きながらウーロン茶をごくりと飲んだ



「お前さんの考えてることとたぶん一緒や、東條の若の弱み・・・


一番の弱点は莉子ちゃんあんたや」



蓮の弱点はあたし・・・・そんな意外な言葉に驚きを隠せない自分がいて




どうしようもなく不安だけが込み上げてきていた
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