溺愛協奏曲
「大丈夫・・・・・俺がついてるから、莉子ちゃんは俺が必ず守るから

何も心配しなくていい」



あたしの手をぎゅっと握りしめてそうつぶやいた



拓巳くんの手はとても暖かくてそれだけで安心できて心まで暖かくなるようなそんな気がした




「あ・・・・莉子ちゃんいよいよお二人さんの入場だよ」




え・・・お二人さんって?



司会者の話をまるで聞いていなかったあたしは拓巳くんの言葉に急いで瞳をステージに向けた




するとそこに居たのはタキシード姿の蓮とブルーのドレス姿の紗枝子さんで・・・




蓮と腕を組んで現れた紗枝子さんは長い綺麗な髪を巻き髪にして・・・




胸元にはダイヤがふんだんにあしらわれた青いドレスと同じダイヤのネックレス




輝くばかりに美しい女性がそこに居た



紗枝子さんは満面の笑みを浮かべて幸せそうで・・・・




蓮はそんな紗枝子さんに微笑みかける




え・・・・・っ




蓮、笑ってるけど・・・・笑ってるけど眼が笑ってない




眼が死んでる



蓮どうしたの?なにがあったの?




あたしにはわかる・・・・・蓮は今、苦しんでいる



とても苦しんでいる、そのことが伝わってきて胸が痛いほど苦しくなった



そんなあたしを悲しそうな瞳で拓巳くんがじっと見つめていた



手を握りしめたままただ黙ってステージを見つめていた













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