溺愛協奏曲
それから何気なく周りを見渡すといつの間にかステージにいた蓮はいなくて・・・・



ぐるりとフロアを見渡すとドレス姿の女性やタキシード姿の強面の男性が沢山行き交って



楽しそうに歓談していた・・・・ってあれ?蓮は何処に行ったんだろう



あたしは無意識に蓮の姿を目で追った



いた・・・・!



蓮が何処に居てもあたしはすぐに見つけられる自信がある



それはたぶんあたしが蓮のことを大好きだから・・・



背が高くて一際目立つ金色の髪



タキシードを着て紗枝子さんと腕を組んで沢山の女の人に囲まれている




にこやかに話す蓮と輝くばかりに美しい紗枝子さん



お似合いだな・・・・



そんなことを思いながら二人の姿をただ黙って見つめた



蓮の笑顔は見ているこっちが苦しくなるくらいの作られた笑顔



そんな笑顔を貼りつけて沢山の女の人に囲まれていた



あたしは溜息をつきながら立ち上がるとフロアから足早に出ていく




あんな蓮・・・・見て居たくない



あたしは俯きながらホテルの重厚な重い扉を開けてすぐそばに来ていた拓巳くんに


笑顔を向けた



「拓巳くんちょっとまってて、あたしお手洗い行って来る」



「や・・・・ちょ・・ちょっとまって!俺も行くよ」




「お手洗いすぐそこだし・・・・一人でも大丈夫だよ、トイレくらい

一人で行けるし・・・・」




あたしはフロアを出ていくとお手洗いに向かって歩き出した



この時、拓巳くんにトイレまで付いてきてもらえばよかった・・・・



って後から思ったなんてあたしと言う女は本当に馬鹿でどうしようもない

















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