溺愛協奏曲
紗枝子さんは真っ赤な顔で一気に捲し立てると青いドレスを翻しドレッサーの



ほうに急に歩き出して引き出しから何かを取り出した




え・・・・・なに?



あたしのすぐ傍まで来ると手に持っていたものを取り出した



それって・・・・か・・・かみそり?



驚きのあまり身動きが取れないでいるとあたしの隣に座る




・・・・と頬に冷たい感触



「この街から出て行けっていってんの!何度言ったらわかんのよ!あたしだって


手荒なことしてくないし、言っとくけどあなた一人何もなかったように消すこと



なんてあたしにとってはなんでもないことなの・・・言うこときかないとこの



綺麗な顔に傷がつくわよ!」




「・・・・・・・・」




「なんとか言いなさいよ!さもないと「出て行きません!・・・あたしこの街に愛着あるし


友達もいますから・・・でもあたしがこの街を出て行っても蓮の心があなたに向くとは


到底思えないんですけど、人の心だけはどうにもならない・・・そう思いませんか?」




「な・・・なにを偉そうに!!」



大声で彼女はそう叫ぶとかみそりをあたしの顔めがけて振りかざす



あたしは咄嗟に彼女の振りかざしたかみそりを握りしめ顔を避けた



まるでスローモーションのようで痛みを感じたのはしばらくたってから・・・



あたしはかみそりの刃をぎゅっと握りしめたまま彼女をみつめる



紗枝子さんは真っ青になりその場に固まっていた




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