溺愛協奏曲
「総帥だ!坊城の総帥だぞ」




「このパーティに顔を出すなんて聞いていないぞ!」





さまざまな声があがり会場は騒然となるが舞台に上がると皆息を呑み総帥の方を



じっと見つめていた・・・・あたりは一瞬静寂に包まれる




何を言い出すかと固唾をのんで聞いていた



「今日は孫娘の婚約パーティだというのでわしも遅ればせながら来たという訳だが・・・・



その、婚約について一言言いたいことがある!まずは・・・・貴志君!ここに来なさい」



総帥がそう言うと舞台に出てきたのはユニフォーム姿の野球少年



背が高くてなかなか可愛い顔をしてる・・・・・けどこの人なに?




紗枝子の隣に陣取ると二人は見つめ合い自然の流れのように手を繋いだ





へ?なんなの?あんた蓮の婚約者じゃないの?




他の男と手を繋いでいていいのか?




そう思ったのはあたしだけではなさそうだ!会場がざわつくと総帥が一喝した




「これ!静まらんか!!


東條組の東條蓮くんと婚約ということになっていたんじゃが実はお互い他に


惚れた相手がいるようでな・・・・このとおり婚約は破棄することになった



じゃが、これは大人の事情でこうなって子供たちが迷惑を被っただけのこと


業務提携はまた別の話でこれはそのままで婚約だけが破棄される」




老人はそう言うとにっこり微笑んで隣の現社長に向き直った



東條組の組長、蓮のお父さまも会場で目をぱちくりさせて心底驚いていたようだった






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