空気はこんなことを考えている
バットマンシリーズは小さい頃から好きだった。他のアメコミヒーローのような、カラフルな外見のヒーローとは違い、黒一色の蝙蝠を模したシンプルなデザイン。個性的な悪役。そして、映画全体から強く漂う、「闇の香り」に、ガキの頃のぼくはゾクゾクと震えた。
最初の映画版「バットマン」の記憶は実はあまりない。ただジャックニコルソンのジョーカーの凄みは、しっかりと記憶に焼きついている。
二作目の「バットマンリターンズ」は、しっかりと覚えている。悲しく、怖く、美しい映画だった。奇形であるがゆえ、赤ん坊の頃、両親に捨てられたという怪人ペンギンの設定は強烈だった。あと、キャットウーマンのツギハギだらけの全身ぴっちりスーツを見て、妖しげな性に目覚めた。バットマンシリーズの中で、一番闇が濃い作品だと思う。マイベストである。
ティムバートン監督のバットマンは、本当に大好きだった。
その後の、「バットマンフォーエバー」と「バットマン&ロビン」は、あまり好きくなかった。
ぼくを酔わせてくれた、闇の香りが、この二作からはいまいち感じられなかったからだ。なんかフツーの派手なヒーロー映画になってしまっていた。