私の彼氏は頭のネジがブッ飛んでるらしい。
「ま、そんなことより、だ」
なるべく早歩きしたのにすぐに追いついた絢斗に、チッと小さく舌打ちする。
モデルみたいに長い足しやがって。
自慢かこんにゃろ。
隣を歩く絢斗の足を踏んずける。
「え、待って待って。なんで俺今踏まれたの?たまたま?たまたま踏んじゃったの?それとも故意?故意にやったの?え?」
「ごめーん。ちょっと絢斗の存在にイラついちゃって」
「もはや存在すらもイラつかせる存在ですか、俺は」
どこか遠くを見つめ、少しだけ微笑みながら絢斗が呟く。
「そんなことより、なによ」
さっき絢斗が言いかけていたことを聞く。
「あぁ、さっきの手紙。あれどう見てもいじめだろ」
めったにしないまじめな表情で絢斗は言う。