秘蜜の秘め事
楽しそうなその様子に、古沢さんはここの常連さんだったんだろうと思った。

「おや」

マスターがわたしの存在に気づいた。

「あ…初めまして」

わたしはマスターに会釈した。

「妹かい?」

マスターが古沢さんに尋ねた。

妹――仕方がない、年齢が年齢なんだから。

1回りも違うんだから。

「いいえ、違いますよ」

古沢さんは笑って手を横に振った。

「恋人です」

恋人――その単語に、わたしの心臓がドキッ…と鳴った。
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