秘蜜の秘め事

第7章

カフェを出て、手を繋いで向かった先は…古沢さんがかつて住んでいた木造アパートだった。

「いやあ、懐かしいなあ」

古沢さんはアパートを見あげた。

築は…3、40年と言うところだろうか?

「ここで相川夫妻と会ったんだよね」

古沢さんは懐かしそうに言った。

「へえ…」

わたしはアパートを見つめた。

このアパートから、古沢さんのいろいろな作品が生まれて世の中へ羽ばたいて行ったんだ。

そう思うと、わたしはちょっと感動した。

古沢作品のルーツがほんの少しだけ知れたみたいで。
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