秘蜜の秘め事
「何?」

古沢さんはわたしに視線を向けた。

「わたし…嫉妬してました」

そう言ったわたしに、古沢さんは驚いたと言うような顔をした。

「嫉妬って…誰に?」

「真のファンの子たちと…真に」

最後のところは、完全に呟いているみたいだった。

「わたし、ヤキモチを焼いてたの。

ファンレターを送ってきたファンの子たちとその返事を書く真にヤキモチ焼いてたの。

ファンが手紙を送るのは当たり前で、それの返事を書く真も当たり前なのに。

なのに…嫉妬してた。

わたしは、真の彼女なのに…って」

古沢さんの顔を見るのが怖くて、話している間はずっと目を伏せていた。
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