秘蜜の秘め事
――“りっちゃん”?

それは、小学生の低学年の頃までのわたしのあだ名だ。

最後にそう呼ばれたのは、いつだっただろうか?

記憶を、昔へと飛ばす。

「――きぃ、ちゃん…?」

呟くように言ったその声は、周りの雑音にかき消されてしまうはずだった。

「やっぱり!」

そう言ったわたしに、彼が嬉しそうに笑う。

彼の耳には届いたらしい。

「えーっ!?」

わたしは驚いて、大きな声を出してしまった。

そんな…!

いや、まさか…!?
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