秘蜜の秘め事
彼は笑って、
「いいんだ、そろそろ起きて荷物の整理をしなきゃいけないと思ってたから」
と、言った。

その時、古沢さんの視線がわたしのミルクティーに向けられていることに気づいた。

「あの…」

何ですかと言いかけたわたしに、
「1口いいかな?」

古沢さんが言った。

「えっ…」

そう言ったわたしに、古沢さんは不思議そうに首を傾げた。

飲みたいって、ことだよね?

そう思って、彼にマグカップを差し出した。

古沢さんがマグカップに手を伸ばした瞬間、
(あっ…)

彼の指が触れた。

だけど古沢さんは気づいていないらしく、わたしの手からマグカップを受け取る。
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