秘蜜の秘め事
古沢さんがマグカップに口をつけた。

(間接キスだ…)

何だか恥ずかしくなって、思わず目を伏せた。

キスされたのはわたしゃじゃなくて、マグカップの方だってば。

頭ではわかっているけど、何だか恥ずかしい。

「美味いね。

梨衣ちゃんが作ったの?」

伏せていた目をあげて、彼から返されたマグカップを受け取った。

「ああ、はい…」

気づいていない…と思いたい。

うるさく鳴る心臓に、彼は気づいていないと。
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