秘蜜の秘め事
「…あ、えっと…もう遅刻しちゃうので…」

気づかれる前に、ここから逃げることにした。

「そう、気をつけてね?」

「はい…」

逃げるようにベランダを後にした。

パタンと窓を閉めて、キッチンへ逃げ込んだ。

「あー…」

トーストは、すっかり冷めていた。

かじるけど、冷めてしまったそれはジャムを塗ってもおいしくない。

もっと早く食べればよかった。

同じく、ミルクティーも冷たくなっていた。

ふと…さっき、古沢さんがこのマグカップに口をつけたことを思い出した。
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