秘蜜の秘め事
いや、逃げたんじゃない。

「…何してるの?」

わたしは聞いた。

真が回鍋肉の皿を動かしていた。

「返事は?」

真が言った。

「はい?」

わたしは聞き返した。

「終わったら電話してって言う返事」

真は質問に答えた。

わたしが返事しない限り、回鍋肉の皿を持っている指は離してくれそうにない。

返事によっては回鍋肉を取りあげられるかも知れない。

ご飯とみそ汁の夕ご飯は、いくら何でもない。
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