秘蜜の秘め事
携帯電話を机のうえに置くと、リクライニングの椅子にもたれかかった。

「終わったら電話する約束だったじゃないか…」

呟いて、僕は目を閉じる。

睡魔の気配は特になくて、すぐに目を開けた。

原稿の締め切りが近いから取りかかろうかと思ったけど、仕事する気が起きなかった。

「梨衣…」

もう1度、机のうえの携帯電話に視線を向けた。

鳴る気配はない。

それを手にとって開いて、梨衣からの着信がないかチェックする。

なかった。

僕はもう1度、携帯電話を机のうえに置いた。
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