秘蜜の秘め事
わたしの姿を確認した真は、ホッと息を吐いた。

そんな真の様子にわたしは申し訳なくて、
「ごめん…」

ただいまを言う代わりに、謝った。

「いいよ、梨衣が帰ってきてくれただけでも充分だ」

真はそう言って、わたしを抱きしめた。

その様子に、真は一晩中わたしのことを心配してくれていたんだと思った。

「んっ…?」

「真?」

声を出した真を不思議に思って、わたしは名前を呼んだ。

「ああ、何でもない」

真はそう言って、抱きしめていたわたしの躰を離した。
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