秘蜜の秘め事
「本でも読むか」

古沢さんが引っ越したその日に買った、彼の新作。

すぐ読もうと思ってたけど、読めないでいた。

本棚にほったらかしになっていた彼の新作を手に持つと、ソファーに座った。

『愛の架け橋』

おととしの4月から今年の3月まで、文芸誌『ビリヤード』で連載されていた話だ。

毎月連載を追っかけていたから話の内容は全てわかっている。

主人公の女性が遠い異国の国にいる恋人に会いに行くと言う話だ。

何度でも読み返したくなるくらい、おもしろい話だった。

そっと、わたしは大切なものを扱うように小説の表紙を開いた。
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