秘蜜の秘め事
気づかれて…いないよな?

僕が今思っていたことに。

「寝なくて大丈夫?」

梨衣が聞いた。

「あー…そうだな…」

僕は考えるように呟いた。

梨衣は僕のところに歩み寄ると、手を伸ばした。

その手が頬に触れる。

「寝た方がいいと思う。

わたしのせいで寝られなかったんでしょ?」

梨衣は悲しそうに眉を下げると、そう言った。

そんなことを、そんな顔で言われると、僕は返すことができない。

僕は頬に触れている梨衣の手をさわると、
「じゃあ、添い寝してくれる?」

そう言った僕に驚いたと言うように、梨衣は目を大きく見開いた。
< 227 / 440 >

この作品をシェア

pagetop