秘蜜の秘め事
ほら、離れる訳ないじゃないか。

僕は自嘲気味に笑った後、
「じゃあ、寝る」
と、梨衣に言った。

2人で寝室に行き、ベッドのうえで横になる。

「んっ…」

梨衣を抱きしめると、ボディソープの匂いがした。

一緒に使っているボディソープなのに、それが違うような気がするのは何故だろう?

「真…」

梨衣が僕の背中に両手を回した。

彼女の躰から漂うボディソープの匂いを鼻で感じながら、僕は目を閉じた。

離れる訳がない。

梨衣は僕のものなんだから。

爪痕をつけられたくらいで退散するほど、僕は弱い人間じゃないから。
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