秘蜜の秘め事
「――ヒック…ヒック…」

どこからか、誰かの泣いている声が聞こえる。

どこで聞こえているの?

誰が泣いているの?

わたしは泣き声が聞こえているところに向かって足を動かした。

オレンジに近い茶色の髪の男の子が地面にうずくまっていた。

「――ウッ…ウウッ…」

男の子は洟をすすって、その小さな肩を震わせていた。

どうして泣いているのだろう?

わたしは男の子と同じ目線にしゃがんで、
「どうして泣いてるの?」

男の子に問いかけた。

声をかけられた男の子の顔があがる。

「――う、わっ…!?」
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