秘蜜の秘め事
「――ん、んんーっ!」

大きな手で口をふさがれているせいで、助けを呼びたくても呼べない。

抵抗したくても、力でかなわないからできない。

真!

真!

心の中で何度も真の名前を叫ぶ。

助けて…!

真、助けて…!

早くきて…!

早く助けて…!


「――…梨衣!」

わたしの名前を呼ぶ強いその声に、閉じていた目を開けた。

目の前にいたのは、
「――ま…こ、と……?」

真だった。

真だ…!
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