秘蜜の秘め事
だけど…まだ足りないよ。

抱きしめられても、名前を呼ばれても、まだ足りない。

もっと真が欲しくて、
「――真…」

もう1度、真の名前を読んだ。

「梨衣」

名前を呼んだわたしに、真が答える。

真が名前を呼んだことを確認した後、
「――ッ…」

わたしは自分から唇を重ねた。

自分から真にキスしたのは、今日が初めてだった。

唇を離すと、
「――梨衣…?」

真は不思議そうな顔をして、首を傾げた。

初めてだから、驚いたのも当然かも知れない。
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