秘蜜の秘め事
きぃちゃんは悲しそうな顔をした。

その顔は今にも泣きそうで、
「ご…」

出てきた声は、震えていた。

「ごめんなさい…」

謝ることしかできなかった。

「――いや、いいよ…。

俺も悪かった」

きぃちゃんは悲しそうな顔を残したまま、笑った。

夢だから。

わたしが勝手に見た夢だから。

きぃちゃんが、あんな乱暴なことをする訳ないじゃない。

「きぃちゃんは、優しいね」

自分自身に言い聞かせるように、わたしは言った。

そうだよ。

きぃちゃんは優しいんだから。

優しいから、あんな乱暴なことをする訳ない。
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