秘蜜の秘め事
「そんなこと、一言も聞いてないぞ!?」

突然怒鳴った真に、わたしはビクッと恐怖で躰を震わせた。

真が怒鳴ったのは、今日が初めてだった。

真の怒った顔を見たのも、もちろん初めてだ。

何もかも初めてのことに、わたしは恐怖で戸惑うことしかできない。

今日の真、何か変だよ…。

そう言いたいけど、また真に怒鳴られるんじゃないかと言う恐怖が躰を支配する。

「ご…ごめんなさい…」

呟くように小さな声で謝ったわたしに、真はハッと我に返った。

真はブルンブルンと頭を大きく左右に振った後、
「ごめん…。

いきなり怒鳴ったりして…」

呟くように言った。
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