秘蜜の秘め事
僕が今見た夢を一言で言うとすると、“悪夢”だった。

思い出したら発狂するんじゃないかと言うくらい、恐ろしい“悪夢”だった。

真っ暗闇の中で僕は鎖に躰を縛られていた。

「何だこれは…!?」

鎖を外そうとした僕の前にスポットライトが照らされる。

「――梨衣!」

そこにいたのは、梨衣だった。

彼女が身につけている衣服は刃物で切り裂かれたのか、ボロボロの布切れのような状態だった。

顔も躰もひどいことになっていた。

生々しい青いアザは、誰に殴られたのだろう?

血がにじんでいる切り傷は、誰に切られたのだろう?

口にはさるぐつわをされている。
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