秘蜜の秘め事
どれくらい、時間が経ったのだろう?

僕は目を開けた。

まだ意識がぼんやりとしているのは、まだ眠い証拠だ。

だけど眠った分、風邪は少しだけだけど治ってきているような気がする。

梨衣に視線を向ける。

「――あ、寝てる…」

ベッドに顔を埋めるように梨衣は眠っていた。

自分の手に視線を向けると、梨衣とつないだままだった。

この様子だと、僕が眠っている間も手をつないでくれていたらしい。

そっ、と梨衣の手を握ると…それに答えるように、梨衣の手が握り返した。

それが嬉しくて、何よりも愛しくて、僕は微笑んだ。
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