秘蜜の秘め事
一緒に後片づけを終えると、わたしたちは家を出た。

マンションを出たとたん、
「じゃ、僕はこっちだから」

真は行き先を指差した。

「行ってらっしゃい。

相川さんによろしく言っておいてね」

そう言ったわたしに、
「梨衣も行ってらっしゃい。

映画の感想聞かせてね」

真は微笑みながら返した。

わたしたちは手を振りながら、それぞれの行き先に向かった。

真の姿が見えなくなると、それまで振っていた手を下ろした。

…あっと言う間、なのだろうか?

わたしたちの関係と距離が、元に戻ったのは。
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