秘蜜の秘め事
真が怒鳴った翌日、彼は風邪をひいた。

日づけが変わるまで窓の外で夜風に当たっていたせいで。

――僕が眠るまで、そばにいて…

呟くようにそう言った真は、普段の彼から想像ができなかった。

普段は大人の余裕と包容力を見せつけて、だけどその分子供っぽいところもある。

でも彼が強いか弱いかと聞かれたら、“強い”の方だと思う。

だから弱い彼はなれなくて、戸惑った。

だけど…弱い彼を放って置けなかった。

真に怒鳴られたって言うのにね。

「――依存症、なのかな?」

自嘲気味に呟いた後、わたしは待ちあわせ場所に向かった。
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