秘蜜の秘め事
学生の恋愛の話でも書くのだろうか?

でも、その話は彼の3作目の小説『オレンジ色』と言う大学生の恋愛ものがあったはずだ。

そう思ったわたしに、
「相川の提案なんだ」

古沢さんが言った。

「えっ?

相川さん?」

相川って、古沢さんの担当編集者さんだよね?

意味がわからなくて首を傾げたわたしに、
「彼がまた学生ものの恋愛を書いてみないかって言ってきてね、僕は『オレンジ色』って言う作品があるからいいじゃないかって返したんだけど…」

古沢さんが説明した。

「けど?」

彼に話の続きをうながしたわたしに、
「“次は高校生の恋愛ものにしませんか?”って、相川がそう言ったんだ」

古沢さんは頭が痛いと言うように手で額を押さえた。
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