秘蜜の秘め事
怒鳴るようなその口調に、わたしは1歩後ろに下がった。

きぃちゃんが気づいたと言うように、1歩距離をつめた。

「子供の頃から、俺は幼なじみ以上――要は1人の女性として、りっちゃんのことを思ってた。

りっちゃんのことを愛してた」

きぃちゃんは声のトーンを押さえながら言った。

「大人になったら、りっちゃんを迎えに行こうと思ってた。

ずっとずっと欲しかったりっちゃんを手に入れようと思ってた。

りっちゃんは、変わらないと思ってた」

きぃちゃんは言い過ぎたと言うように呼吸した後、
「予想通り、りっちゃんは変わっていなかった。

髪の長さは変わっていたけど、それ以外は変わっていない。

それが嬉しくて、なおさらりっちゃんが欲しくなった。

なのに…俺が知らない間に変わっていたところがあった」
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