秘蜜の秘め事
「だからって…だからって、真のことを悪く言わないで…!」

声を大きくして、強い口調で反抗したわたしに、
「ずいぶんと、そいつのことをかばうんだね」

きぃちゃんはバカにするように笑った。

「まあ…恋人を侮辱されたら、大人しいりっちゃんも黙ってる訳がないもんね。

だけど、俺はそれ以上に黙ってないよ?

大好きなりっちゃんを奪われて、大人しくしてる訳がないじゃないか」

わたしとの間の距離をつめるように近づいてくるきぃちゃんに、わたしは1歩後ろに下がったけど、
「――あっ…」

壁が後ろに下がろうとしたわたしを止めた。

同時に、自分が今いる場所に気づいた。

…わたし、いつの間にここにきたの?

わたしたちが今いる場所は、どこかの路地裏だった。
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