秘蜜の秘め事
ただこの恐怖から逃れたくて。

何より、真以外の男性に触れられることが怖くて。

手加減は考えていなかった。

気がついたら、
「――ッ…」

片手で頭を押さえて座り込んでいるきぃちゃんが目の前にいた。

そんな彼の様子にハッと我に返って、
「――ご…ごめん、なさい…」

たたいていた手を止めた。

きぃちゃんの前に座り込んで、彼の顔を覗き見る。

きぃちゃんは、泣いていた。

泣いている彼に、わたしはとんでもないことをしてしまったと気づく。

幼なじみなのに。

大切な友達なのに。

自分のしたことが怖くなった。
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