秘蜜の秘め事

第8章

躰に当たる大粒の雨が、痛い。

ああ、そう言えば夕方から雨だって言ってたな。

そんなことを思いながら、わたしは歩いて家に向かっていた。

カバンの中に折りたたみのカサが入っているけど、それを差そうとする気力は起きなかった。

――りっちゃんだけは、違うと思ってた…

さっきの、きぃちゃんの言葉が頭の中に浮かんだ。

わたしは…何がしたかったのだろう?

泣き出したきぃちゃんにどうすることができなくて、わたしは逃げ出した。

――りっちゃんも、一緒だったんだね…

呟くように言って泣いていたきぃちゃんを思い出す。

雨が止んだ。

と思ったら、
「梨衣」

聞き覚えのあるその声に後ろを振り返ると、
「――まこ、と…?」

カサを持った真がいた。
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