秘蜜の秘め事
「全く、30を過ぎた男に何をさせたいんだろうね」

嘆くように言った古沢さんに、
「いいですよ」

わたしがそう返したら、
「えっ?」

今度は驚いた。

「仕事代はでないよ?

それでもいいのかい?」

続けて言う彼にわたしは、
「お金目当てだなんて、わたし一言も言ってないんですけど」

古沢さんは言い過ぎたと言うように口を閉じた。

「話の内容に困らない程度に情報を提供するだけでいいんですよね?」

私の問いに古沢さんはうなずいた。

「よかった、心強いよ」

古沢さんはホッとしたように微笑んだ。
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