秘蜜の秘め事
鳴らしたと言うのに、きぃちゃんは出てこなかった。

聞こえなかったのかな?

もう1度インターホンに向かって手を伸ばした。

ピーンポーン

出てこなかった。

もう1度鳴らそうと思って手を伸ばしたけど、やめた。

もしかしたら…死んでる、とか?

そんなことを思った自分に、わたしは首を横に振った。

そんなウソみたいなこと、ある訳ないじゃない。

でも…もしかしたら…。

この前も老人が自宅で死んでいた、いわゆる“孤独死”のニュースをテレビで聞いたばかりだ。

わたしはきぃちゃんの部屋のドアの前から、管理人室へ足を運んだ。
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