秘蜜の秘め事
「えっ…?」

聞きなれない単語に、わたしは首を傾げた。

今、“養護施設”って…。

「冷蔵庫にアクエリアスが入ってるから、持ってきてくれないか?」

きぃちゃんがキッチンにある冷蔵庫を指差すと、言った。

わたしは腰をあげると、キッチンに向かった。

何気なくシンクの中に視線を向けると、コンビニ弁当とカップ麺の空箱、そして使ったであろうお皿とマグカップでいっぱいだった。

男の1人暮らしは、こんなものなのだろうか?

真は、違うのに。

彼ときぃちゃんを比べてしまった自分に、わたしはシンクから目をそらした。

冷蔵庫のドアを開けると、
「何にも入ってない…」

中を見て、思わず呟いてしまった。

冷蔵庫の中は、ほとんど空っぽに近い状態だった。

袋の中で3枚くらい残っている食パンに、ペットボトルのミネラルウォーターとアクエリアスが入ってるだけだった。
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